カントリーブーツの特徴とは?
さて、フランスのボーエンとぼコラボを行っているアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)ですが、英国メーカーらしく、カントリーブーツを製造、販売しています。
同業他社で同じエリアのノーサンプトンにあるトリッカーズなどが得意とするカントリーブーツは、クロケット&ジョーンズも製造しており、やはり英国ならではの地理に合ったブーツと言えるようです。
ハノーバーが有名なアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)のカントリーブーツ!
アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)で一番知られているのカントリーブーツが、ハノーバー(Hannover)でしょう。
スコッチグレインレザーを使ったフルブローグ仕様のブーツで、ラストはなんとクラシックコレクションに属すエプソンと同じ87番です。
捨て寸が少し短いものの、つま先が短く見えないのは、デザインがいいからでしょう。
コマンドソールとフルブローグの組み合わせはいかが?
また、ストームウェルトという細革がコバの上を1周しており、水や土ボコリの侵入を防ぐ役割を担っています。
アウトソールはコマンドソールとなっていて、耐久性とグリップ力が高いのが特徴。
甲革のエレガンスとソール武骨さの妙がミスマッチを生み出しており、人気の1足です。
スコッチグレイン革を使ったアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)も!
スコッチグレイン革を使った同じ87番のラストを使ったコンブリッジ(Combridge)という、カントリーブーツもラインナップしています。
こちらはキャップトゥで、エレガントな見た目からドレスブーツと言えるような仕上がりです。
アウトソールにはダイナイトソールを採用、防水性に優れているとともに、グリップ力もあります。
ラストがハノーバーと同じため、コバの上にストームウェルトが巻かれているのも同じです。
サイズ感はわずかにゆったり目!
アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)の革靴のサイズ表記はUKっとなっています。
販売元の意向でUSになることもあるようですが、少ない事例です。
サイズ感は、表記サイズよりわずかに大きい、というのが一般的なようです。
日本人特有の甲高によってきつく感じる、というコメントが少ないことからハーフサイズ小さいサイズを選ぶのがよさそうです。
ただし、常に一番いいのは試着してサイズ感覚を確かめてからの購入になることをお忘れなく。
サイズの換算表については、国別表記など、詳細については別の記事で細かくまとめています。
詳細について気になる方は是非こちらの記事も合わせてご確認下さい!
あの有名ブランドのOEMも手がける!
出典:https://mens.tasclap.jp/
なお、アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)がOEM(Original Equipment Manufacturer=相手先ブランド名製造)として多くのメーカーやブランドの革靴を生産して卸していたことは、革靴ファンには周知のようです。
ラルフローレンやポールスミス、ニュー&リングウッドなどが知られており、日本でもビームス、ユナイテッドアローズ、トゥモローランドといったセレクトショップの別注品として販売されていました。
ブルックスブラザーズの靴はアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)製?
このうち、特にスーツで有名な米国のブルックスブラザースのブランド靴生産の話が興味深いので紹介します。
ブルックスブラザーズのブランド名で革靴製造を委託、あるいは共同名で靴を販売していたメーカー&ブランドは英米に数多く存在しますが、そのうちの一つがピール&コー(Peal & Co)というイギリスのブーツメーカーブランドでもあった会社です。
ブルックスブラザーズの靴を作っていたピール&コー!
ピール&コーは、創業が1791年、1802年と諸説あるのですが、後者取っても、現在創業190年と最古を誇るトリッカーズよりもさらに20年近く前に創業されたブーツ&革靴メーカーです。
20世紀初頭から第二次世界大戦後までが全盛期だったようですが、1940年ごろからブルックスブラザーズの名を借りる形で米国での販路を広げていきます。
顧客の中にはハリウッドスターや英国貴族や元国王なども含まれていた、というほど栄華を誇ったメーカーでした。
ブルックスブラザーズの靴のOEMは多くのメーカーが担当
ところが、高い技術力を持つ職人がいなくなったことなどもあって1965年にイギリス工場を閉鎖、ピール&コーのブランドはブルックスブラザーズがラストやその他の革靴製造に必要な備品などとともに買い取り、ブランド名はパール&コーとして残し、OEM生産を始めたのです。
OEM生産を行っていた会社には米国のオールデンやアレンエドモンズ、英国はチャーチ、クロケット&ジョーンズ、エドワードグリーンなどがありました。
アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)が作ったブルックスブラザーズの革靴!
そんなOEMの一つとして、今も残っている中古革靴を調べたところ、アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)が製造したピール&コーのブランド靴があることが分かったというのです。
しっかりした革の厚みや甲の柔らかさ、履き心地の良さなどの利点が紹介されつつ、中古の革靴としてマーケットに出ていること。
さらにアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)が有名ブランド名を冠せるほどの靴作りの実力を持つメーカーであることが、図らずもこのエピソードで証明されることになった、というお話でした。
英国靴らしいラストの特徴とは?
アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)のラストは、グレードごとに違うラストを使っています。
ここでは、エクスクルーシブのうち、英国靴らしいラスト2種を取り上げ、特徴を簡単に特徴を説明するとともに、代表的なモデルを紹介します。
フルブローグのモデル名は「ハント」!
つま先がエレガントでクラシカルな丸みを帯びたラスト。
全体的に内側に絞った感じで、踵への密着度の高いスタイルです。
靴が足になじむころには、つま先の返しがつくので、ちょうど良い履き心地を期待できるラストです。
このラストの代表的なモデルはハント(Hunt)というフルブローグ。
甲革はドイツのワインハイマー社からのカーフで、もちろんグッドイヤーウェルト製法での革靴です。
ストレートチップのアームフィールドは革靴が初めての方にお勧め
同じラストで作られたアームフィールド(Armfield)という内羽根式のストレートチップもよく知られています。
ワインハイマー社のカーフを使い、一番の特徴は羽根周りのエレガントな縫い目で、スワンネックと呼ばれる見事な曲線縫いがあることです。
アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)の革靴を初めて選ぶ、という方にお勧めなオーソドックスなタイプの靴です。
ダブルモンクならラムゼイが有名!
英国靴らしいセミスクエアトゥが印象的なラストです。
ラムゼイ(Ramsey)というダブルモンクストラップの靴が代表で、革はワインハイマー社から。
アウトソールはヒドゥンチャネルとなっていて、いかにもアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)といった作りです。
全体のシルエットのバランスが良くかつ美しいので、人気の一品となっています。
日本に多くない取り扱い店舗情報!
出典:https://i.isetan.co.jp/
アルフレッドサージェント(Alfred Sargent)の日本の直営店はありません。
取扱店舗数は他のブランドに比べて少なく、下記の5カ所のみで、その他はほとんどが通販かセレクトショップ、個人輸入での販売になります。
①横浜タカシマヤ
②伊勢丹新宿
③名古屋栄三越
④ジェイアール名古屋タカシマヤ
⑤大阪タカシマヤ
まとめ
自社ブランドに加え、OEMとして委託された革靴を、相手先のブランド名で納品して販売する期間が長かったためか、知名度がそれほど高くないアルフレッドサージェント(Alfred Sargent)。
しかしOEMの納入先ブランドが英米や日本の有名どころだったのには驚きました。
それほど生産技術が高く、品質も良いメーカーが4代続いた家族経営というのも意外だったと思います。
創業100年を経てフランスの資本が入った同社、英国靴の伝統を守りつつ新たな革靴の登場や市場の拡大が期待されるところでしょう。