革靴にゴム製ソールを初めて採用したシューズを市場に送り出したことで名高いのが、フランスの「パラブーツ(Paraboot)」ブランドです。
同ブランドの様々なスタイルのシューズのうち、カジュアルでもビジネスでも通用するダブルモンクストラップの「ウイリアム」を紹介します。
ブランドの歴史はもとより、サイズ選びや服装のコーディネイト、エイジングや修理といった気になるポイントを、ブランドのホームページ内容などを交え、パラブーツウィリアム(Paraboot William)の集大成としてまとめてみました。
ゴム底で履き心地が良い!
出典:https://forzastyle.com/
ブーツを含めた革靴全般を買う時に、靴底がレザーかラバーかを気にする方は多いはずです。
というのも革靴を履く目的で、どんな靴底がふさわしいか、また履き心地が良いかというのは重要な問題で、特に長時間革靴を履くシチュエーションでは、足の疲れ方が大きく違ってくるからです。
パラブーツウィリアム(Paraboot William)誕生の経緯とは?
パラブーツウィリアム(Paraboot William)について、いろいろ説明する前に、まずはパラブーツのことを知っておくことが大切です。
というのもパラブーツ(Paraboot)には、ウイリアムというモデル以外にもいくつかの特徴あるモデルが存在し、市場での評判は上々だからです。
そこで、まずはパラブーツ(Paraboot)の成り立ちから探ってみます。
今では当たり前の革靴のラバーソールを採用した?
ワークシューズやアウトドアシューズの靴底がゴム製、つまりラバーソールになっているのは、今では当たり前のことでしょう。
屋外で長時間、作業などを含めて歩き回ったり、岩や石ころだらけの道なき道を進む、といった時に重宝するのが、堅牢で摩耗にも強くかつ足を保護するというゴム底靴。
1926年にゴム製のゴム底を初めて採用!
そんなゴム製の靴底を、革靴に初めて採用して売り出したのが、フランスの「パラブーツ(Paraboot)」です。
しかも最初に売り出したのが1926年というからびっくり。
パラブーツ(Paraboot)を開発し市場に送り出したのは、フランスで小さな工房を営んでいたレミー・リシャールポンヴェールという靴職人でした。
ブラジルのパラ港から届いたゴムを使ったブーツが「パラブーツ(Paraboot)」
リシャールポンヴェールがアメリカを訪れた際、現地のアメリカ人が履いていたゴム製のブーツに注目し、フランスに戻って革靴の底をゴムにすることを思いつき作成します。
靴底のゴム素材には、ブラジルのパラ(Para)港から届いた天然ラテックスを採り入れることに決めたことが、ブランド名としての「パラブーツ(Paraboot)」となったのです。
発祥の地フランスでは誰もが履くブランド!
パラブーツ(Paraboot)発祥の国フランスでの評価は大きく、誰もがパラブーツ(Paraboot)を履くのが当たり前、というほどに周知されたブランドだとか。
現在ではラバーソールを自社製造する唯一のメーカーでもあるパラブーツ(Paraboot)は、軍人や警察、消防士といった職種でのワークシューズやアウトドアシューズ全般を生産しているとともに、革靴ブランドとしての地位を確立しています。
パラブーツウィリアム(Paraboot William)と言えばダブルモンクストラップ!
紹介しているウイリアムのスタイルは、ダブルモンクストラップで、イギリスのウインザー公のために高級紳士靴ブランド、ジョンロブが作ったのがウイリアムなのです。
ただし、パラブーツ(Paraboot)がジョンロブのアウトドアシューズを生産していた時期があり、パラブーツウィリアム(Paraboot William)は、ジョンロブ・モデルが原型になったといわれています。
パラブーツウィリアム(Paraboot William)は油分の多いリスレザーを使用
そんな背景を持つパラブーツ(Paraboot)の特徴の一つが、多量の油分を含んだリスレザーという革を使っていること。
パラブーツ(Paraboot)独自の方法でなめされたリスレザーは、わずかな光沢があり、雨などの水に濡れてもシミになりにくいことがメリットです。
独自の高い防水性を誇るノルヴェイジャン製法で製造
さらに靴底がゴム製、というのもパラブーツ(Paraboot)の大きな特徴で、紹介するウイリアムだけではなく、パラブーツ(Paraboot)の各モデルに使われており、ゴム製の靴底を含めた靴全体を、独自の高い防水性を誇るノルヴェイジャン製法で仕上げています。
雪や寒さ、水などから足を守るべく考案されたノルヴェイジャン製法
ノルヴェイジャン製法は、北欧のノルウェーで雪や寒さ、水などから足を守るべく考え出された製法で、太い糸を使って垂直、水平の向きに縫っていく方法になります。
糸の太さと縫われ方に重厚感があり、高い防水性を実現しているものの、かなり難しい縫い方のため、こなせるメーカーは多くありません。
エイジングの基本は磨きから!
良い革の靴ほど磨きをはじめとする定期的な手入れを怠らなければ、経年変化いわゆるエイジングを楽しめるものです。
その点、パラブーツウィリアム(Paraboot William)はエイジングを楽しむのに最適な靴の一つといえます。
油分を多く含むため水をはじく?
というのも、パラブーツウィリアム(Paraboot William)はリスレザーを使っているため、多くの油分がしみ込んでいます。
しみ込んでいる油分は、ほおっておくと靴の表面に浮き出てきて、カビのような白っぽい外観になります。
多く含まれている油分により、少量の水であればはじいてくれるのです。
積年の手入れによるカラー変化が魅力をUPさせる!
カビ状の白い物質をブルームと呼び、ブラッシングすることで革の中に入ってツヤが出るわけです。
特にブラウン系の靴のカラーだと、テッカテカというツヤではなく、鈍い感じの、それこそ積年の手入れによる飴色とでも形容できるカラーに変化します。
こうした変化がエイジングの醍醐味といえます。
履きジワは手入れが不十分なのか?
もう一つの経年変化が履きジワです。
履く人の歩き方や靴のサイズなどで様々な履きジワが、主に靴の甲の部分にできます。履き込むことで生じるシワですが、しっかり手入れをしてシューキーパーで形を整えることで、かなり防ぐことができます。
ですので、特にパラブーツウィリアム(Paraboot William)の革は上質ですので、手入れが不十分な証拠として嫌う人もいるようです。
パラブーツウィリアム(Paraboot William)の履きジワは長年愛用という証
とはいえ、履きジワがあるイコール長年愛用している、と受け取られ、靴への愛着のバロメーターとして見られることも。
エイジング、という面から見れば、ほどよい履きジワも立派な経年変化の証、と見るべきなのでしょう。